データ作成情報データ作成のコツと注意点を紹介いたします

データ作成情報では、入稿されたデータのチェックや修正の経験を基に、データ作成の注意点やマメ知識を掲載していきます。何かお役に立てる情報があれば、どんどん利用してください。

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透明機能《分割・統合編》

Ver9.0以降のIllustratorやIndesignでは、「透明機能」が使用できます。手軽な操作で簡単に複雑な表現ができるので、重宝されている方も多いのではないかと思います。

この透明機能を「分割・統合」する機能がIllustrator上についています。また、印刷会社様によっては「透明機能は分割した後入稿してください」と言われるケースもあります。

透明機能の分割とは何でしょうか?なぜ分割が必要なのでしょうか?

注意事項

※画像はMacOSXのものです。

※ソフト又はOSのバージョンにより、メニューの名称などが若干異なる場合がございます。

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透明分割の原理

透明機能はIllustrator(またはIndesign)特有の機能であり、「ここは透明である」という意味の情報は、ai(またはindd)形式でのみ、その情報を持つことができます。
例えば、PDFのように、異なるソフトで読み込むためのファイル形式に変換した場合、「ここは透明である」という意味の情報は失われます。しかし、ファイル上の「見た目」は保持しようとするため、重なった透明部品の影響で色が変わっている箇所は、色の違う別部品として「分割」されます。これが、透明箇所が分割される理屈です。

この分割は、データを印刷用出力機で変換する際にも発生します。少なくとも弊社印刷環境では、透明データは印刷時に必ず分割されます。
この、分割する際の設定が安定していないと、印刷物の品質に大きな影響をきたします。

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ソフト上での透明分割≪illustrator & indesign≫

Illustratorでの透明分割

弊社出力環境は透明機能の安定した出力が可能ですので、基本的に透明の含まれているデータもそのままご入稿いただくようにしております。ですが、Illustratorは単純にそれ自体を印刷するだけのソフトではありません。他のソフトと組み合わせて使用される場合、他の用途に使用される場合など、「Illustrator上で透明効果を確定させておく」つまりIllustrator上で透明を分割しておく方が効果的なケースもあります。

「オブジェクト」メニューより「透明部分の分割・統合」(Ver.9~10は「透明部分の分割」)を選択すると以下のようなウィンドウが表示されますので、設定「高解像度」を選択します。

画像に透明機能を使用している場合は、まず画像を埋め込みます【下図参照】。

※透明機能使用の有無は「ウインドウ→分割・透明プレビュー」で確認できます。

「分割・透明プレビュー」で、ハイライト設定を「影響される全てのオブジェクト」にし、確認した後、ハイライトされたオブジェクトを全て選択します【下図参照】。

選択した後、「オブジェクト→透明部分を分割統合」を選択し、下図のように設定します。

※ここで「高解像度」を選択しないと、分割された箇所が粗くなってしまいます。
※CSでは「分割・統合プレビュー」ウィンドウにより、透明、分割の対象となる部品を確認することができます


Indesignでの透明分割

Indesign では、 Illustrator のようにファイル上で予め分割することはできません。出力時(「データ書き出し」「プリント」)に、設定した透明分割オプションを使用することになります。Indesign→PDF書き出しの際はご注意ください。

前述のとおり、予め透明を分割統合できないので、まずは「編集→透明の分割・統合設定」で設定をします。ここで行った設定内容は保存できるので保存することをお勧めします【下図参照】。

「プリント or データ書き出し→詳細」で、透明の分割・統合のプリセットを選択できるので、ここで先ほど作成した透明分割・統合プリセットを選択します【下図参照】。

※Indesign上で配置したIllustratorデータに透明が使用されている場合は、事前にIllustrator上の透明箇所を分割した方が安全です。

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ラスタライズ

希にですが、Illustrator上であまりにパスが多い複雑な部品は、印刷工程において予想外の結果(不具合、エラー、図形の変形など)を起こすケースがあります。「オブジェクト→パス→単純化」で調節しても良いのですが、ここでは「ラスタライズ」について説明致します。 「オブジェクト」メニューより「ラスタライズ」を選択し、「高解像度」で設定すると、複雑な部品は、バック透明の埋め込み画像に変換されます。

下図のような複雑でパスが多い部品は…

「オブジェクト」メニューより「ラスタライズ」を選択し、下図のような設定をします。

ラスタライズ後、下図のようになります。

※「ラスタライズ」と「透明分割」は、同じではありません。全く別の作業になります。

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注意事項

「アピアランス」でフチを付けた文字をラスタライズすると、フチの一部が欠けるケースがあります。

CS2では改善されていますが、CS以下のバージョンを使用している方はお気をつけください。

下記に症状と対策を記述しているのでご参考にしてください。


下図のように、アピアランスウインドウのオプションから「新規線を追加」でフチを作成します。

「オブジェクト→ラスタライズ」を実行すると、下図のようにバウンティングボックス外のフチが欠けます。



対策

ラスタライズ設定にて、「オブジェクトの周囲に○○mm追加」の欄に任意の数値を入力するとこの問題は回避できます。

「透明の分割」や「ラスタライズ」は、設定を間違えると、品質に大きく影響する可能性がございます。

上記に関してご不安な方は、ご相談の上、弊社にお任せください。


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