データ作成情報データ作成のコツと注意点を紹介いたします

データ作成情報では、入稿されたデータのチェックや修正の経験を基に、データ作成の注意点やマメ知識を掲載していきます。何かお役に立てる情報があれば、どんどん利用してください。

画像を配置するときの注意点《保存形式別》

以下の文章は、最近、オンライン受注宛に届いた質問です。

ご質問ですが、オフセット印刷でドイツから届いたデータなのですが、
インデザインに配置した写真でRGBとCMYKを混在して渡しても大丈夫ですか?
また、写真(画像)の保存形式も、PSD、EPS、TIFF、PNG、JPEGと多様です。
これも問題ありますか?

画像形式の混在はよくあることですが、カラーモードの混在はトラブルの元です。

しかし、イラストレーターなら「埋め込み」、インデザインなら「PDF/x1-a書き出し」で解決することができます。

上記はインデザインの質問でしたが、ソフトが変われば、アドバイスの内容も変わってきます。

Office系のソフト(ワード、エクセルなど)は、ソフトに貼り付けられる形式、カラーモードに制限があります。逆に、Adobeソフトは何でも貼り付けられる分、問題に気付かず印刷してしまうリスクがあります。

以下、保存形式別に「画像を配置するときの注意点」を紹介致します。

注意事項

※画像はWindowsXPのものです。

※ソフト又はOSのバージョンにより、メニューの名称などが若干異なる場合がございます。

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EPS

もっとも画像出力に関する問題が多いのが、EPSフォーマットに関わるものです。これまでは、EPSというと安定した汎用フォーマットのイメージが強く、多くのデザイン会社、印刷所でもEPSを推奨していますが、これが近年そうともいえなくなっています。

その最大の理由が透明機能です。透明効果を使用した部分は、出力時には分割されて表現されていますが、この分割描画が、ソフトやRIPによっては異なる結果になることがあります。

例として、白いスジ、文字の画像分割化(一部画像一部図形)が起こります。[下図参照]

これらは透明分割設定をしていることで防げる面もありますが、回避するために有効な方法は、イラストレーターなら「保存形式を「ai」にして、透明分割設定をしたPDFで書く」、「あらかじめデータ上で透明分割をしておく」ことです(後者の方法の場合は、一度分割すると元には戻せません。)

例:文字の画像分割化

上半分に比べて明らかにした半分が粗く表示されています

解決方法-イラストレーターでの透明分割

弊社出力環境は、透明機能の安定した出力が可能ですので、 基本的に透明の含まれているデータも、そのままご入稿いただくようにしております。

しかし、イラストレーターは単純にそれ自体を印刷するだけのソフトではありません。他のソフトと組み合わせて使用される場合など、イラストレーター上で透明を分割しておく方が効果的なケースもあります。

「オブジェクト」メニューより「透明部分の分割・統合」(Ver.9~10は「透明部分の分割」)を選択すると以下のようなウィンドウが表示されますので、設定「高解像度」を選択します。

  1. 画像に透明機能を使用している場合は、まず画像を埋め込みます【下図参照】。
    ※透明機能使用の有無は「ウインドウ→分割・透明プレビュー」で確認できます。
  2. 「分割・透明プレビュー」で、ハイライト設定を「影響される全てのオブジェクト」にし、確認した後、ハイライトされたオブジェクトを全て選択します【下図参照】。
  3. 選択した後、「オブジェクト→透明部分を分割統合」を選択し、下図のように設定します。

※ここで「高解像度」を選択しないと、分割された箇所が粗くなってしまいます。
※CSでは「分割・統合プレビュー」ウィンドウにより、透明、分割の対象となる部品を確認することができます

解決方法(インデザイン-透明分割)

インデザインでは、イラストレーターのようにファイル上で予め分割することはできません。出力時(「データ書き出し」「プリント」)に、設定した透明分割オプションを使用することになります。「インデザイン」→「PDF書き出し」の際はご注意ください。

  1. 前述のとおり、予め透明を分割統合できないので、まずは「編集→透明の分割・統合設定」で設定をします。ここで行った設定内容は保存できるので保存することをお勧めします【下図参照】。
  2. 「プリント or データ書き出し→詳細」で、透明の分割・統合のプリセットを選択できるので、ここで先ほど作成した透明分割・統合プリセットを選択します【下図参照】。

※インデザイン上で配置したイラストレーターデータに透明が使用されている場合は、事前にイラストレーター上の透明箇所を分割した方が安全です。

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TIFF

保存オプションにて、いずれかの圧縮モードにチェックを入れていると、出力エラーになる場合がありますので「なし」にしておくといいでしょう。[下図参照]

tiff保存オプションの画像

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GIF、PNG

GIFやPNGは透明情報を活かすフォーマットですが、埋め込みにしないまま保存すると透明分割のオプションにより、思わぬ表示になることがあります。

埋め込みとラスタライズの違い

埋め込みの場合、保存情報(リンク名など)は残りますが、ラスタライズはイラストレーター内に完全に埋め込んでしまいます。

ラスタライズの方がデータとしては安全ですが、データの修正などを考慮した場合、通常はリンクにして、出力(PDF作成)時のみ、埋め込みをされる方が良いかと思います。

また、ラスタライズは任意の解像度に設定されるので、埋め込みに比べて容量が軽くなる傾向があります。ただし、低い解像度だと粗くなる可能性があります。

なお、保存状態により、埋め込みだけでもリンク名が消える場合はあります。

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リンクに関して

画像については、埋め込むことで、概ねそのエラーは回避可能です。使用することに問題はありませんが、以下の場合にご注意ください。

保存時のオプション「配置した画像を含む」について

「配置を含めて保存している(チェックしている)」

埋め込み表示され、リンク画像がなくても印刷可能になりますが、カラー情報がイラストレーターファイルに埋め込まれており、配置した状態(埋め込む前の状態)と色が若干異なる場合があります。RGBデータを配置している場合は特に注意が必要です。

「配置を含めて保存していない(チェックしていない)」

埋め込まれずにデータはリンク状態のままですが、保存後、に画像を別フォルダに移動した場合など、再度開くと下図のような警告画面が表示されます。

「無視」を選択すると、画像のリンクが外れてしまい、イラストレーターに表示されなくなります。この状態で印刷した場合、画像は印刷されません。

この場合、「移動した画像を元の場所に戻す」ことをしてから再度開くか、または「修復」、「置換」を選択し、移動後の場所を指定すると、イラストレーターに表示されます。

保存後に画像を別フォルダなどに移動した場合

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大きすぎる線画、モノクロ2階調の埋め込みについて

イラストレーター 1,200dpi程度のモノクロ2階調データを、埋め込みにした上でPDFを書くと、リンクのままPDFを書いた状態より、若干線画が荒れていることがあります。ご注意ください。

画像に関しては難解な部分も多く、エラー原因も明確にならない場合があります。一番いいのは「PDFのまま印刷されるので問題ない」といった認識です。

制約は多少あっても、どんな作り方であってもPDFにしたときに正確に表示されるデータであれば入稿して差し支えないと思いますし、そういった入稿フローが主流になってきつつあると思います。

また、画像形式についてはこちらも参照ください → 「データ作成情報-画像のデータ形式」

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