データ作成情報データ作成のコツと注意点を紹介いたします
データ作成情報では、入稿されたデータのチェックや修正の経験を基に、データ作成の注意点やマメ知識を掲載していきます。何かお役に立てる情報があれば、どんどん利用してください。
オーバープリント
お客様のデータに、よく分からないままオーバープリントを使用されているケースが見受けられます。
また、データを入稿していただく際、逆に詳しいお客様から以下のような質問を受けることもあります。
「オーバープリントは、必ず設定しなければいけないのですか?」
「どういう場合は『ノセ』の方が良いのでしょうか?」
印刷の都合上、オーバープリントという言葉はよく出てきます。
「ノセ」ともいいます。対応語として「ノックアウト(ケヌキ)」、「トラップ(太らせる)」などもあります。
印刷に詳しい人でなければ、これらは、専門的過ぎて理解できない人も最近は多いかもしれません。
かといって、大体の知識でオーバープリントを使用すると、使い方次第でミスの原因にもなりますのでご注意ください。
今月は「オーバープリント」をテーマに設定方法や注意点、マメ知識を紹介していきます。
※画像はWindowsXPのものです。
※ソフト又はOSのバージョンにより、メニューの名称などが若干異なる場合がございます。
オーバープリントとは
例をあげて簡単に説明すると、
- 例えば、Illustratorで、赤色(M100Y100)の四角を作り、その上に、ブラック(K100)の文字「あいうえお」を置くとします。[下図参照]
- このデータを印刷すると、CMYK4版の(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の構成は、マゼンタとイエローが、それぞれ100%の四角に「あいうえお」と白く抜かれた版になります。[下図参照]
- これを印刷する際に、白く抜かれた版(版Bと版C)と、ブラック版の「あいうえお」という文字(版A)を重ねようとすると、若干ズレて、白いフチのような状態になる可能性があります。
「 版ズレ」とも呼びます。[下図参照]
※下図はイメージです。擬似再現したものなので、実際の現象とは見え方が異なります。
オーバープリントの設定
上記の「版ズレ」を防ぐため、「あいうえお」という文字に、「オーバープリント」という設定をします。
設定方法-Illustrator
「ウィンドウ」→「属性」、または「Ctrl+F11」でもダイヤログを出現させることができます。
対象を選択した状態でチェックを入れることで設定します。

設定方法-Indesign
indesignは「ウィンドウ」→「プリント属性」で、ダイヤログを出現させることができます。
Illustratorと同様に、対象を選択した状態でチェックを入れることで設定します。
※Indesignの場合、ブラックは初期設定でオーバープリントになっています。

オーバープリントの注意点
オーバープリントを設定すると、白いフチが見えずに、きれいな文字ノセとなります。
ただし、これにはいくつか注意点があります。
色が変わる
ブラック100%(K100)以外のオーバープリントは色が変わる恐れがあります。通常のプレビューモードでは、色の差異が表示されません。
オーバープリントを設定した後は、「オーバープリントプレビュー」で、チェックすることをお勧めします。
※「表示」→「オーバープリントプレビュー」、または「Alt+Shift+Ctrl+Y」で、プレビューモードを「オーバープリントプレビュー」に切り替えることができます。

文字が消える
もし、間違って白にオーバープリントを設定(オーバープリントの黒を白に変更しても同様)したりすると、文字が消えてしまいます。これも上記と同様に通常のプレビューモードでは、文字は消えていません。
上記と同様、オーバープリントを設定した後は、「オーバープリントプレビュー」で、チェックすることをお勧めします。

見え方のズレ
違う色や用紙色にまたがって文字がある場合、ノセの部分とそうでない部分で見え方が違う場合があります。
したがって、黒(K)100%の文字で、その文字のバックが一定の色である場合はオーバープリントに、そうでない場合、またはよくわからない場合、複雑な場合は、何も設定しないほうが賢明です。
オーバープリントの重要性をいうサイトもありますが、ご自身の作品において、見た目の絵柄が大きく変化しないこと(版ズレによる白いフチの見え方はコンマ何ミリ)が大前提であれば、手動で無理に触る必要はありません。
弊社においてのオーバープリントの対応
弊社では、お客様のデータ上で設定されたオーバープリントはすべて活かす対応を行っています。
(自動オーバープリント、自動トラップ処理は採用していません。)
これは、お客様のデータをそのままプリントしたもの、あるいは持ち込まれたものを「入稿紙」として対応するためです。
もし、間違った設定であれば、可能な範囲でご指摘させていただき、
弊社のチェックにおいて明らかにオーバープリントやトラップが必要と判断した場合は、ご連絡の上、弊社の方で処理いたします。
いずれにしましても、作業に悩まれた際は一度ご相談ください。
別ページでも「オーバープリント」について解説しております。こちらもご参照ください。
データ作成の注意-オーバープリント
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